PC-98XA、伝説の1120×750ドット。早すぎた超高解像度マシンの衝撃
2026/1/6 RetroPC NEWS編集部
NEC の PC-98XAは、1985年にハイレゾリューション(高解像度)モードを本格的に導入した先駆的なモデルです。
当時の標準機であるPC-9801E/F/Mなどが家庭や一般事務を広くカバーしていたのに対し、XAはプロ向けの超高性能ワークステーションという立ち位置でした。PC-98シリーズのハイレゾ画面はあまり馴染みがないのではないでしょうか?今回、その特徴である「ハイレゾ」について詳しく解説します。

PC-98XAの広告 (画像出典:工学社I/O 1985/7)
驚異の解像度 1120×750ドット
最大の武器は、標準モデル(640×400ドット)の約3.3倍という圧倒的な情報量です。
- 美しい文字表示: 標準機が16ドットフォントだったのに対し、XAは24ドットフォントを採用。漢字のトメ・ハネまでくっきり見え、長時間のテキスト入力でも目が疲れにくいという利点がありました。
- CAD・設計に特化: 細い線が密集する図面作成(CAD)において、この解像度は歓迎されました。
MS-DOSの起動画面。24ドット明朝体のフォントが非常に美しい
N88BASICでサンプルプログラムを作る。X座標が”1119″と4桁になるのに感動する
当時のブラウン管は14インチが主流。今でいうRetinaに近い美しさであった。
ハイレゾ機の宿命「互換性の欠如」
高性能ゆえの大きな代償が、標準機(ノーマルモード)との互換性がないことでした。
- ソフトが動かない: ほとんどの市販ゲームや実用ソフトは「640×400」の画面を前提に作られていたため、XAでは画面が小さく表示されたり、最悪起動しなかったりしました。
- 専用ソフトの必要性: XAの性能を活かすには「XA専用版」のソフト(一太郎、Multiplan、CADソフトなど)を買い直す必要がありました。
- 専用モニター: 走査周波数が特殊だったため、一般的なモニターは使えず、高価な専用の高解像度モニターが必要でした。
後の「H98」や「PC-9821」へ続く
PC-98XA自体は、その高価格と互換性の低さから爆発的なヒットには至りませんでしたが、その設計思想は以下のように受け継がれました。
- PC-98XL / XL2 /RL: XAの反省を活かし、ノーマルモードとハイレゾモードを切り替えられるようになりました。
- PC-H98シリーズ: 「ハイレゾこそが98の頂点」という流れを汲む、最高級のビジネスライン。
- PC-9821シリーズ: Windows時代になり、標準で多色・高解像度を扱うようになると、XAが目指した「高精細な画面」がようやく当たり前のものとなりました。
NEC PC-98XAとPC-9801VMは、どちらも1985年に発売されたNECを代表する16ビットパソコンですが、主要な違いを以下の表にまとめました。
スペック比較表
| 項目 | PC-98XA (1985年5月) | PC-9801VM (1985年7月) |
| CPU | 80286 (8MHz) | V30 (10MHz/8MHz) |
| 画面解像度 | 1120×750 ドット | 640×400 ドット |
| カラー | 4096色中16色 | 4096色中8色(最大16色) |
| 主な用途 | CAD、高精細な事務作業 | 一般事務、ゲーム、ホビー |
| VRAM | 512KB | 192KB (最大256KB) |
| 標準メモリ | 512KB | 384KB |
| 価格 | 695,000円(PC-98XA model 2) | 415,000円(PC-9801VM2) |
同時期に発売されたPC-9801VMが爆発的なヒットを記録した一方で、XAのセールスは振るいませんでした。しかし、そこで培われた技術は着実に次世代機へと引き継がれていくことになります。







