【分解レビュー】初代NEWS(NWS-831)の内部に迫る
2026/3/6 RetroPC NEWS編集部
SONY NEWS UNIXワークステーションとは
ソニーは1987年、UNIX 4.2BSDを搭載したワークステーション「NEWS」シリーズ
(NWS-810/820/830)を発表しました。
MC68020を2基搭載し、FPUやEthernetを標準装備することで、高速処理と優れたネットワーク機能を実現。さらに、X Window System、NFS、Emacsなど充実したソフトウェア環境を備えながら、
戦略的な低価格を打ち出し、形成期にあったワークステーション市場で大きな注目を集めました。
SONY NEWS NWS-831 (画像提供:Dai ISHIJIMAさん)
その時代背景を振り返ると、1977年に登場したDECのVAX-11/780が32ビット・ミニコンピュータとして高性能を誇り、1980年代前半には研究機関や企業で広く採用されていました。こうした状況の中、NEWSは“VAXクラス”に匹敵する性能をデスクトップサイズで実現することを目標に開発されました。大型ミニコンに迫る性能を机上に持ち込んだ点こそが、NEWSの最大の特徴だったのです。
VAX11/780 冷蔵庫のような大きさ、高さは152 cm(60インチ)

NEWSスペック(UNIX Magazine より編集部加工)

周辺機器の価格(UNIX Magazine より編集部加工)
ワークステーション NEWSを分解する!!
今回、Dai ISHIJIMAさんのご協力により、NEWSの分解 (NWS-831) をしました。ワークステーションの分解はなかなか縁がないかと思いますのでぜひご覧ください。
(なおこちらは関西インターネット老人会LT 2018 で行われた、
「レトロワークステーション(Sony NEWS831)のレストアと動態保存」を再構成・加筆したものになります。)
SONY NEWS NWS-831 (画像提供:Dai ISHIJIMAさん) ※注
本体全面のディップスイッチやLED
現代のようにBIOS設定画面などはなく、本体全面のディップスイッチでシステムの挙動を変更します。また本体全面に”NETWORK”LEDがついており、ネットワークの存在をアピールしています。
前面にあるディップスイッチでシステム設定を変更できる
ディップスイッチの設定マニュアル (NWS-1510マニュアルより編集部加工)
本体の半分近くを占める電源ユニット
ノイズ対策のためか筐体の鉄板も分厚く、写真上半分を占めるような巨大電源ユニットと、筐体右側には巨大なファンが2基装備され、本体内部を全冷却します。ファンの音はかなりうるさいです。
天板を開ける (画像提供:Dai ISHIJIMAさん)
本体底面いっぱいを占めるマザーボード(画像提供:Dai ISHIJIMAさん)
放熱フィンも空冷ファンもないCPU
現在のPCでは、CPUに巨大なヒートシンクと冷却ファンを装着するのが当たり前です。高性能化と引き換えに発熱量も増大しているためです。
しかしNWS-831では、CPUに目立った放熱フィンはなく、専用の空冷ファンもありません。
これは、本体からの送風が十分に強力ということに加え、CPUが現在ほど高クロックではなかったこと、消費電力が比較的低かったことが背景にあります。
CPUとI/Oプロセッサ、FPUが見える(画像提供:Dai ISHIJIMAさん)
物理的に巨大なハードディスク
ハードディスクとしてSCSIの156MBを搭載、ドライブは5インチフルハイトと物理的に巨大なものになります。隣は現代のHDDと同じ3.5インチ1インチハイトです。
しかし、これほど物理的に巨大なディスクドライブではあるものの、NEWS-OSのEmacsを含むフルインストールは容量が足りないケースもありました。ワークステーションでありながらディスク容量との戦いが常にあったという点も当時ならではの事情です。
左がNEWSに搭載された5.25インチフルハイトHDD
右は比較のために置いた現代の3.5インチ1インチハイトHDD
(画像提供:Dai ISHIJIMAさん)

モノクロビットマップディスプレイボード(画像提供:Dai ISHIJIMAさん)
メモリスロットは存在しない
NWS-831はメモリ増設が可能ですが、SIMMスロットがありません。メインボード上に巨大なボードを小亀のように載せるとのことです。
メインボード(画像提供:Dai ISHIJIMAさん)
ベンチャースピリットを垣間見る
NEWSのマザーボードにおいて、Z80 SIOが使われていたり、時刻保持のICは98と同じものを使うなど、カスタムLSI(特定製品専用の集積回路)ではなく標準ロジックICを多用しているのには理由があります。汎用品である標準ロジックICを使えば、LSIの完成を待つ必要がなく、すぐに回路を組むことができました。一方、カスタムLSIを自社開発するには、膨大なコストと長い開発期間が必要でした。


Z8530Aシリアルコントローラや8253が利用される
さらに、設計に誤りがあった場合でも、標準ロジックICであれば該当チップを外し、ジャンパ線などで修正することが可能です。しかしカスタムLSIの場合、わずかなミスでも作り直しとなり、その損失は数千万円規模に及ぶこともありました。
初代のNEWSにはエンジニアのベンチャースピリットが刻まれている気がしました。
- ご協力:Dai ISHIJIMAさん
- 参考文献:UNIX MAGAZINE Classic with DVD ( 2007年,アスキー )
- NEWSができるまで(手塚宏史) pp. 4-13
- Coffee Break NEWSの動態保存(石島 梯) pp. 14-15
- ※注:(C)1990 NHK・総合ビジョン・TOHO/1990年12月18日に画像データ公開・配布について許諾済み












