PasocomMini PC-8801mkIISR のデモンストレーションを披露
2025/12/26 RetroPC NEWS編集部
2025年12月13日の「MSX devcon 13」で、電波新聞社が開発を進める『PasocomMini PC-8801mkIISR』のデモンストレーションが披露されました。PasocomMini PC-8801mkIISRにフォーカスを当てレポートします。
デモンストレーションにあたって解説する、三津原敏ミラクルアーツ社長(左)とエムツーの堀井直樹社長。
製品パッケージは当時の雰囲気を忠実に再現しています。
PasocomMini PC-8801mkIISR、PC-KD852mini、リモコン、USBキーボード。
USBキーボードの操作感、タイプ音、ほとんど全てが当時のPC-8801mkIISRのキーボードでした。
「いい音するんすよ、マジで。 “FILES”とか打つと記憶が蘇る感ある。」と堀井さん。
1983年にハル研究所がかつてMSX用に発売されていた「ぶた丸パンツ」をPasocomMini PC-8801mkIISRに移植してデモンストレーションされました。プログラムは”高橋あゆみ”さんが担当。 C言語とアセンブラでガリゴリ書いてくれてますとのことでした。
PasocomMini PC-8801mkIISR 実働動画
- 電波新聞社マイコンソフト PasocomMini PC-8801mkⅡSR
PasocomMini PC-8801mkIISR について
当初は2025年春の発売が予定されていましたが、開発状況の影響により発売日が複数回延期されています。
1. 最新の発売スケジュールと価格
現時点(2025年12月)での最新情報は以下の通りです。
- 発売時期:2026年3月頃の見込み
- 2025年11月の公式発表により、ソフトウェア開発の遅延を理由に再延期されました。
- 予定価格:33,000円(税込) / 税抜 30,000円
2. 製品の主な特徴
1985年にNECから発売され、8ビットパソコンの黄金期を築いた名機「PC-8801mkIISR」を、約1/4サイズで精密に再現したミニチュアパソコンです。
- 精密な外観(愛でる): プラモデルメーカーの**青島文化教材社(アオシマ)**が筐体製作を担当。実機同様の細かなモールドやシルク印刷が施されており、ミニチュアのフロッピーディスクを挿入・排出できるギミックも搭載されています。
- 実機同様の動作(実行する): 本体には「PC-8801mkIISR + サウンドボードII」相当を再現したエミュレーターが搭載されています。
- プログラミング(作る): N88-BASIC Ver.2.0を搭載。当時のプログラムを打ち込んで動作させることが可能です。
- ゲーム収録(遊ぶ): 当時の人気PCゲーム(マイコンソフト作品など)が10本以上収録される予定です。
3. ハードウェア仕様
現代のモニターや周辺機器を接続して使用する仕様になっています。
| 映像出力 | HDMI (Type A) |
| USB端子 | USB 3.0 (Type-A) ×1、USB 2.0 (Type-A) ×1(キーボード・マウス用) |
| 電源 | USB Type-C |
| オーディオ | 内蔵ステレオスピーカー、3.5mmヘッドホン端子 |
| ストレージ | microSDカードスロット(ソフトウェアの追加も可能) |
| 本体サイズ | 幅99.5 × 奥行85.7 × 高さ31.0 mm |
4. 関連アクセサリ
本体に合わせて、より雰囲気を高める周辺機器も発表されています。
- PC-KD852 mini: 当時純正モニターとして人気だったディスプレイの外観を再現したモニタースタンド(スマホ等を立てられる仕様)。
- 専用USBキーボード: PC-8801mkIISRのキーボードデザインを模した、実際に使用可能なUSBキーボード。
【注意点】
非常に期待されている製品ですが、公式SNS(@pcmini8801)では「二度と延期することのないスケジュールを発表するため、今しばらく時間がほしい」と慎重な姿勢を見せています。
NEC PC-8801mkIISR について
NEC PC-8801mkIISRは、1985年に発売され、日本の8ビットパソコン市場における「絶対王者」の地位を決定づけた伝説的名機です。
なぜこの機種がそれほどまでに特別だったのか、技術的側面と商業的成功の両面から解説します。
1. 1985年1月1日、「V2」の衝撃
この機種の最大の特徴は、新しく搭載された「V2モード」にあります。それまでのPC-8801シリーズ(V1モード)との互換性を保ちつつ、スペックを飛躍的に向上させました。
- グラフィックの進化: 640×200ドットで「8色中8色表示」が可能になり、当時のパソコンとしては圧倒的に美麗な絵が描けるようになりました。
- サウンドの革命: 標準でFM音源(YM2203)を搭載。それまでの「ピー」という単音(BEEP音)から、ゲームセンターのような豪華な3重奏+リズム音を出せるようになり、パソコンが「楽器」や「オーディオ機器」としての側面を持ち始めました。
2. 商業的な成功と「プラットフォーム」の確立
PC-8801mkIISRは、単なる高性能マシンに留まらず、ビジネス・ホビーの両面で市場を席巻しました。
- 圧倒的なシェア: 当時、シャープの「X1」や富士通の「FM-7」と激しいシェア争いをしていましたが、SRの登場によって「ゲームや実用ソフトを買うなら88」という流れが決定定的になりました。
- ソフトメーカーの集中: 「SR専用」というラベルのソフトが続々と発売され、日本ファルコム(『イース』『ザナドゥ』)やエニックス(『ドラゴンクエスト』以前の作品)などの有力メーカーが、まずは88向けに開発を行うという好循環が生まれました。
- 「SR以降」という基準: あまりに普及したため、後に続く後継機(FH/MH、FE、MAなど)もすべて「SRとの互換性」を基準に設計されました。つまり、8ビットPC時代の終わりまで続く「標準規格」になったのです。
3. 文化としての成功
商業的な数字以上に、日本のパソコン文化に与えた影響は計り知れません。
- ゲーム音楽の誕生: 古代祐三氏をはじめとする著名な作曲家たちがSRのFM音源を駆使し、今なお愛される数々の名曲を生み出しました。
- 「パソゲー」の黄金時代: アドベンチャー、RPG、シミュレーションなど、現代の日本のゲームジャンルの基礎となる作品の多くが、このSR上で花開きました。
PC-8801mkIISR 基本データ
- 発売: 1985年1月
- 価格: 258,000円(model30 / FDD2基搭載モデル)
- CPU: μPD780C-1(Z80A互換、4MHz)
- メモリ: RAM 64KB
- 音源: FM音源3音 + SSG音源3音(計6音)
一言で言えば: 「ビジネス向けの信頼性」と「ホビー向けの表現力」を、当時の最高水準で両立させたことで、日本中の少年から大人までを虜にした、8ビットPC史上最大のヒット作です。





